『ヒミツ』第9巻 36 ライフスタイル 08
36 ライフスタイル 08
オキシトシンは、「関係」「承認」「利他」「触れ合い」
などによって分泌される幸せホルモンだった。
群れの維持に不可欠なホルモンとして、進化してきたのね。
他者との協力を促すよう、DNAにプログラミングされている。
「絆ホルモン」と呼ばれる理由よ。
他方、自分自身との協力を促すホルモンもある
それが、セロトニン。
セロトニンは、日光を浴び、運動をして、動物性たんぱく質を
取ると増えていく。
自分の肉体が、物理的に健全であるときに分泌されるの。
心は肉体的な健康からモロに影響を受けるので、
「心身の健康」を祝うホルモン、と言ってもいいのかもしれない。
いい?
この2つのホルモンこそ、幸せのカギなのよ。
①心身が健全である(セロトニン)
②他人との関係が健全である(オキシトシン)
この2つの基礎条件があってはじめて、幸福の追求が可能になる。
ところが現代社会では、この基礎部分こそがないがしろにされてるの。
TVを付けると、気を滅入らせるような悲惨な話ばかり。
・・と思えば、番組の合間はみな、消費を煽るコマーシャルがつづく。
コマーシャルはね、欲望の喚起装置。
あれも欲しい、これも欲しい、流行を追いかけ、
すでに十分あるのに「もっと!もっと!」って、
あなたを急き立てるの。
このとき、あなたの脳内ではドーパミンが放出されてる。
幾多の苦労を乗り越えて成功したとき、大きな感動や達成感が得られるでしょ。
あれが典型的なドーパミンの効果。
興奮、喜び、満足感、多幸感をもたらし、あなたをより意欲的に、
より行動的に、より集中的にさせてくれる。
実際、記憶力や分析力、注意力が向上することもわかっており、
ドーパミンに促された人は、次々と成果を手にしていく。
・・・・でも、ここに落とし穴もある。
ドーパミンは、モルヒネの6倍もの効果があるとされてる、
ある意味で最強の脳内ホルモン。
それは薬物によっても分泌されるし、ゲームやスマホでも、
アルコールでも、ギャンブルでも、名誉欲や出世欲でも分泌される。
わかりやすいのは、消費よ。
現代の大量生産/大量消費を根幹で支えているホルモンなの。