『ヒミツ』第6巻 47 引き算思考3

2023.09.27 その他

47 引き算思考3

ヤなことがあったとき、多くの人はヤなできごとをジャッジする。

ヤね、って。

・・・でも、考えてみて。

たとえば、散歩してるとき、

向こうから大きなシェパードが来たとしましょう。

ハァハァと息は荒く、鋭く寧猛な犬歯も見える。

ちょっと怖い。

よけようとしたら、よりによってこっちからはさらに怖そうな

ドーベルマンがやってきた。

しかも3匹。

よくそんな大型犬を多頭飼いできるなって思うけれど、

Wで塞がれちゃって、こっちはそれどころじゃない。

マジ、冷や汗もの。

次の瞬間、「あらぁ、マロンちゃん今日もかわいいわねぇ」

「さくら三姉妹もお元気そうで、お久しぶりです」って、

飼い主同士も犬たちもじゃれ合いをはじめた。

「メスだったのか、こいつら」って思うと、

ちょっと怖さもゆるんだ。

犬同士、ジャンプしながらクンクン匂いを嗅ぎ合って、

たのしそうではある。

まったく同じできごとなのに、両飼い主にとっては

喜びの瞬間だった。

他方、あなたにとっては恐怖の瞬間だった。

犬たちにとっては、遊びの瞬間。

まったく同じできごとだというのに、三者三様、

それはまったく異なった現実として現実化していた。

これが、「現実」。

現実は、つねに現実化せしめた人のジャッジに沿って、

現実化されているの。

そして、すべてのジャッジには、判定基準がある。

認識のフレームワークという基準がね。

人それぞれ、この認識のフレーワークは異なる。

だから事象そのものは有限で中立なのに、

人類は無限に多様な「体験」をそこに現実化させられるの。

いい?

「現実」はすべて、あなたが創っている。

中立な事象は、ただそこにあっただけ。

ただそこで、ニュートラルに生起しただけ。

それに意味を付与し、意図を設定し、背景をこしらえ、

なんてひどいことするんだ、相手が悪い、自分は被害を受けた、

って傷ついたり、ねたんだり、怒ったりしてるのは、

すべてあなた自身なのよ。

自分で創った「現実」に対してね。

この構造に気がつき、自身の創造行為を自覚できるなら、

ニュートラルに生起した事象に対し、

自分で意味づけを変えていくことができるわ。

口うるさい介入は、より豊かに生きる技の伝授になるかもしれない。

変な方向に歪んでしまい、幸せを遠ざけていた小我の補正とか。

あなたがどういった方向で解釈するかで、

現実は異なった現実として、いくらでも再創造できるのよ。

世の中の多数派の人たちは、これをやらない。

小我ワールドが現実のすべて。

かくして、どんどん豊かさや幸せを取りこぼし、

運んでくる幸運の女神を遠ざけようとするの。

ルサンチマンから、ね。

ルサンチマンの根源は、きびしい競争にある。

現代社会において、ほとんどすべての職場では、

心労の多い、残業の多い、負荷の高い働き方をせざるをえない。

そうしないと競争に敗れちゃうから。

ノルマを課され、マネーを追い、マネーに追われる勤務。

自分の意思なんて通るわけもなく、顧客のわがまま、

会社の方針、予算の制限、締め切り、上司の意見、

仲間の都合など、「ありとあらゆる自分の意思以外のすべて」が

のしかかってくる。

多くの場合、サラリーマンは、大我は当然として、

小我ですら押し殺しながら勤務しなくてはならない。

いつしか、自分を殺してる自分の姿すら見失うほどに、

あらゆる感覚がマヒしてくる。

こうした日々をくりかえしていると、

心の奥底でうごめくものたちが活発化してくる。

それがルサンチマン。

近接レンズの効果で、近いものは解像度が高く、

こまかな点までよく見える。

だから多くの人たちは、日常のマイナス面ばかりをあげつらうの。

これが足りない、ここがよくないだ、あの人はこうだ、

うちの会社はだからダメなんだって、レッテル張りやジャッジが横行する。

比べている架空の理想像は、解像度の低い望遠レンズの効果で、

シルエットがきれいに見えているだけなのに、

そこに同じ近接レンズを持ち込むなら、

似たような、もしかしたらもっとひどい「現実たち」が

たむろしてるかもしれないのに、比べて嘆くばかり。

すべては自分が行っている現実創造に由来し、

小我とルサンチマンこそがそれらの駆動力であるにも関わらず、

すべてを外部の責任にすり替え、

他人が悪い、他人が悪いと言い続けるのが現代人なの。

いい?

ルサンチマンや心の奥底でうごめくものはね、

あなたが殺したあなた自身なのよ。

彼女は泣いてるの。

助けてほしい、いたわってほしい、かまってほしい、

また愛してほしいって、暗く狭い場所に閉じ込められた状態で、

あなたに救助信号を送ってるのよ。

またさんさんと陽のあたる表舞台に出してほしい、

明るく幸せに活躍させてほしい、って。

こうした構造が見えるなら、あなたがとるべき戦略ははっきりしてるわ。

まず、負荷を軽減するの。

具体的に言うと、最初に残業をなくす。

次に、ため込んでた有休を積極消化よ。

できれば(水)に休んだ方がいい。

2日働いて1日休む。

このリズムをくりかえすの。

5日だとキツイ。

心も体も、あの状況に戻っちゃうよ。

けど、明日まで働けばあさってはお休みだ、

自由に好きなことができるよ、っていう日々が続くなら、

ちょっと希望が持てる。

人生を、2日単位の毎日に組み直すのよ。

多くの社会人は、体力的には週5日働けるため、

そして自分を殺すことが習慣化しているため、

無意識の深いところで進行している事態に気づかない。

表層意識の上では、これくらいはがまんできる、

サラリーマンなんだからしょうがない、

成長するために/成長させるために必要なんだ、

もっとマネーを獲得するんだ、貢献が大事だって今日もがんばってる。

だけれど、深層意識の深いところでは、ずっと自分は泣いてる。

だから、ルサンチマンの人になっちゃうのよ。

いい?

1 残業を減らす

2 (水)に休む

3 現実を再創造する

これが、小我とルサンチマンを引き算するコツよ。