『ヒミツ』第6巻 15暮らしの変化7

2023.08.17 その他

15暮らしの変化7

これから、なぜか気候は荒れていく。

特に中国やインド、アフリカなど多数の人口を抱える国や、

代表的な穀倉地帯、農業生産が活発な地域などで、集中的に。

農業には、通年で安定した温暖さが必要よね。

一定の降雨量も。

自然ではない自然災害が多発すると、その一発で一年間の努力が無駄になる。

何回か続くと、農業従事者たちは借金が膨らんで、

生活が成り立たなくなり、廃業という道を選択するしかなくなるわ。

一度廃業すると、たとえその後気候が落ち着いたとしても、

そうかんたんには生産性は回復しなくなる。

食糧不足が、構造化されていくのよ。

相手は「構造」なので、

個々の生産農家の努力ではどうにもならない。

真の原因者の姿は見えず、したがって抜本的な解決策もなく、

民衆の前には、ただただ、いかんともしがたい社会現象が

長期にわたって横たわりつづける。

構造化の手法はさまざま。

気候変動が用いられる場合もあれば、国家間の戦争が用いられる、

政権転覆による政情不安や地域紛争が用いられるなど、いろいろ。

いずれにせよ、なぜかたまたま特定の方向性をもつ事象が連続し、

それが「構造」となり、人々の暮らしを世界中で変えていく。

愛とか光とか言っててもね、状況は変わらないわ。

わくわくしても、「構造」自体は変化しない。

先生から秘儀を習得したとしても。

あなたにできるのは、「自分が世界に関わる、その関わり方」を

変えていくこと。

そうした人々が十分な数にまで増え、相互につながりはじめたとき、

はじめて「構造」は変化するの。

「被害者」を卒業し、「精妙さ」を使いこなせるようになることは、

その最大のカギとなる。

そう、魔法学校の卒業生同士でゆるやかに連携するのよ。