『ヒミツ』第6巻 0決定権

2023.08.03 その他

0決定権

おっはー。

元気してる?

筆者がこのくだりを書いてるのは、2023年7月末。

人類史における最後のバブルが日本で芽吹きはじめ、

円高への転換が少しずつ顕在化しだしたころ。

ドルの基軸通貨性がゆらぎ、欧米の商業用不動産は下落、

クレジットカードの延滞率が上昇して、

欧米の経済崩壊が少しずつあらわになりはじめている。

この時点では、まだ「時代の構造」はその姿を明確に

あらわしてはいないのだけれど、

一部直観の鋭い人たちはその胎動を感じ取り、

自分にできる対策に動きはじめている。

世界全体がそうなるので逃げ場はなく、

各国で根拠法も整備されたため、

国民である以上従わないわけにもいかない。

最初、それはアプリによる減点にすぎなかったのだけれど

徐々に「国民統一スコア」へと変わっていき、

あらたに違法化された行為が発覚すれば、

デジタル化された通貨の使用は即停止されてしまう

2026年以降、各国で中央銀行デジタル通貨の利用が

急速に普及したため、これ以上有効な統治ツールはないくらい、

絶大な効力を発揮するようになるわ。

すでに民間でも、LINEスコアなどが運用をはじめているでしょう

カーシェアアリングでも、急加速や急減速など、

乱暴な運転をしなかったユーザーの信用スコアは上昇し

優待ランクが定められたりする。

2030年以降の社会ではね、さまざまなサービス事業者が

ユーザーのスコアを相互連携させており、

AIが自動分析して、実質的な「総合スコアリング」が

行われるようになっていくの。

当然、国家が行うスコアリングも、そこに関与してくる。

経済崩壊した後、多くの国民たちがベーシックインカムで

暮らすようになっているため、

マイナンバーに紐づけられた口座の凍結は、それこそ生命線。

基本、政府に逆らう人はいなくなっていくの。

でも、当然、みながみな納得しているわけじゃない。

思考を停止しているわけでもない。

引き続き、一部の人たちは自分の頭で考えているし、

自ら必要な豊かさを創出しながら生きている。

そうした人々は、ベーシックインカムなどに頼らず、

スコアリングなども気にしない。

苦労も凸凹も多いけれど、

その分多様な豊さを受け取りながら、

心の自由を奪われることなく、陽気に暮らしているわ。

しっかり働きながら、自由を満喫しながら、ね。

手取り給与は3割くらいしか残らないのだけれど、

お金を使わなくても日常から豊かさを引き出せるよう、

ライフスタイルが変化しているので、

そんなに窮屈には感じない。

逆に仕事のパイが減った分、労働時間も減り、

残業はもっと減り、AIやロボットが大活躍をはじめているので、

そうした人々の自由度はむしろ上がっているの。

あたらしい生き方に転換した人々についてはね。

転換しなかった方の人々はというと、推して知るべし。

想像、つくでしょ。

だから筆者は口酸っぱく、「被害者から卒業しましょう」と

呼びかけているのだけれど、なかなか届かないのが現実。

被害ってね、依存の裏返しなのよ。

相手に依存しているので、相手がなにを返してくるかで、

自分の幸/不幸が決まっちゃう。

相手から望み通りのものが返ってこないと、

裏切られた、傷つけられた、って騒ぐ。

すねる。

自分の幸/不幸の決定権を、相手にゆだねている生き方。

「相手」を、国や会社や組織、顧客、親、妻、夫って

言い替えると、より依存性がはっきりするわ。

あなたには、主人であってほしい。

人生の決定権を、自分の手に取り戻すのよ。