『ヒミツ』第5巻 13 選択の時3

2023.04.21 その他

13 選択の時3

やり方はいくつもある。

各社、それぞれできることをやる、で問題ないと思うわ。

言えるのは、これやったら万事OKなんてミラクルな方法はない、ってこと。

一つ一つ時間をかけて、小さな改善を積み上げていくしかない。

けど、それだと大ざっぱすぎて参考にならないと思うから、

筆者の会社で具体的におこなわれていることを紹介するわね。

まず、最初にやったのは「ルールの明確化」。

多くの企業では、就業規則って大昔に定められたまんま、

放置されてるんじゃないかしら。

どっかから拾ってきたやつの完コピなんてまだましな方で、

そもそもそんなもの存在しない、って会社もいっぱいある。

筆者の会社では、昨年、時代の変化に合わせた大幅改訂を行い、

その後は随時見直しをかけていく、という方式に改めた。

期中の変化は「ガイド」という社内文書で対応しておき、

年に1回まとめて就業規則に落とすものは落とし、

運用でカバーすべきものはガイドの方を見直していく。

これで、ヌシの生息域をだいぶ狭めることができた。

「暗黙のルール」「人に依存する伸縮自在な基準」って、

トラブルのもとになりやすい。

ヌシにとっては、格好の活躍場所になるの。

人によって基準を変えない、粛々と社内ルールにのっとって

平等に対応していく、って幹部間の認識も共通化した。

ここのさじ加減って、意外にむつかしいのよ。

現場への権限委譲と矛盾しやすいから。

硬直化した「縛り」ではなく、むしろ「活動の原動力」

としての生きた規定。

各社、自分たちの実情に合わせて作り込んでいく以外ないと思うわ。

社長が一人で作ってハイ、って渡すんじゃないのよ。

社員みんなで作っていくの。

人数が多い会社なら、幹部たちみんなと。

この共同作業をおこなうプロセスの中で、人は考え、成長していく。

このプロセスそのものが、「共通の価値観」の共通化なのよ。

リーダーみんなが、そうとう鍛えられるわ。

足場がしっかりしていると、跳躍は確かなものになる。

方向性も定めやすい。

だから数年前、彼は大幅改定に踏み切った。