『ヒミツ』第4巻 44 特徴5

2023.02.18 その他

44 特徴5

この話はね、実は創作じゃないの。

多少脚色はしているけれど、筆者の実体験よ。

魂が肉体へのグリップを失うとどうなるか、という現場を

まざまざと見せられた瞬間だった。

ほとんどの場合、人は人として生きており、人として活動を行っている。

まわりの人たちは、みなそう。

いろんな個性があり、いい人も悪い人も、短気な人も色々いるけれど、

人として成立していない人、というのはまずいない。

薬物の乱用、精神疾患、著しい思想の偏向、

といった場合にはありえるのかもしれないけれど、

精神科の医師でもない限り、

一般人がこうした事例を目にする可能性は低いでしょう。

だから、ほとんどの人は気づかない。

現代医学では「多重人格」とかの名で呼ばれ、あるいは

時代をさかのぼると「憑依」などと呼ばれていたのかもしれない。

いずれにせよ、「肉体だけのニンゲン」「素のニンゲン」とはどういうものかを、

端的に見せられた経験だった。

たしかにサルよりははるかに高等だけれど、あきらかに「人」ではない。

魂が宿り正常に機能することではじめて「人」は成立している。

高次元側から重なってもらわないと、ニンゲン単独ではこの程度の

生き物にすぎないの。

多様な文化をはぐくみ、愛し愛され、喜怒哀楽を感じ、

協力し、離散し、裏切り、なぐさめ、いたわりあうような、

わたしたちがあたりまえだと思っているこの「人のクオリア」は、

肉体由来の構成要素だけでは成立しえない。

いい?

心のクオリアじゃない。

物理的な脳が生み出す「質感」のことではなく、

人が人たる最大のゆえん、の話をしているの。

「重なり合い」こそが人類の最大の特徴であるにもかかわらず、

この1丁目1番地の大本質が無視されているのが、現代文明の特徴なのよ。

もちろん、ここには意図的な「誘導」が隠されている。