『ヒミツ』第4巻 43 特徴4
2023.02.17
その他
43 特徴4
1時間ほど講師の解説となり、その後、休憩になった。
戻ってみると、彼女は劇的に変わっていた。
頬に赤みが差し、唇もきれいなピンク色になっていた。
表情が明るくなり、生気が増して、所作がキビキビしている。
言葉にもちゃんと感情がこもっていて、人と人が通常行う
クオリアをともなったコミュニケーションが成立するのである。
「こんなに快活で、話し好きの人だったんだ。」
ケイコは、本来の彼女を知って驚きを隠せなかった。
休憩時間、マユミからは、おかしな2体は出ていくように説得していた旨を聞いた。
幸いなことに、2体とも思ったほどたちが悪いわけではなく、
入れそうだったので入ってみた、空きがあったので試したらできてしまった、
みたいな感じだったらしい。
研修が終わることには、彼女の背景も少し聞けた。
オカルト趣味があって、そっち系の本ばかり読みふけっていたという。
心が大きく傾いていた。
精神のバランスが崩れ始めると、だんだんと体調も悪くなり、会社も休みがちに。
そのうち外へ出るのがおっくうになり、会社は年単位の長期療養へ。
やる気がしない、動くのがめんどう、人生のすべてにモヤがかかった感じで、
あらゆることに興味を失っていた、という。
病院にも行ったが別段異常はなく、かといって社会復帰できるわけでもないので、
見かねた両親がリハビリをかね、この研修に申し込んだらしい。