『ヒミツ』第9巻 21 戦略 05
21 戦略 05
実際、彼は6年前に1,200万円で錦ヶ丘の土地を取得していたけれど、
これが r の力学よ。
実は彼は、GW前に別の物件に買い付け証明を入れており、
とある銀行さんと協議を開始したところ。
理解を示していただけるなら、10億~20億規模までスケール
させていくことも、夢ではない。
そしてね、彼がやろうとしているのは、
このノウハウを従業員たちも利用可能にしようということなの。
彼が主導する不動産事業部を手伝うことで、
担当社員たちもまた、不動産ってこうやって目利きするんだ、
業者さんとはこうやって付き合い、情報はこうやって集め、
リフォーム会社へはこうやって安価に依頼すればいいんだ、
ってスキルや経験が蓄積されていく。
いい?
日本のサラリーマンってね、不動産投資家としてして見た場合、
世界でもっとも恵まれた立場にあるのよ。
主要先進国はのきなみ高金利なので、いくら上がりはじめたとはいえ、
こんなに低金利で融資を引っ張れる国は、日本以外に存在しない。
間接金融がこんなに発達しているのも、主要先進国では日本だけ。
安定的な給与があるというサラリーマンの属性があれば、
だれでもかんたんに数千万円のローンを引き出せちゃうのが、
この日本なのよ。
こんなにも、圧倒的に恵まれた立場にあるというのに、
不安を内面化した人々は、勇気をもって一歩を踏み出そうとしない。
思考を停止した人々は、自分の頭で状況を考えようともしない。
彼が行っている一連の社内改革はね、会社からの一方的な圧力などではなく、
実はここにメスを入れていく「自己変革たち」だったのよ。
社員一人一人が、自分の r を持てるようにすること。
それこそが、彼のほんとうの狙い。
寝てても不動産が一生涯勝手に副業してくれるなんて、
すてきくない?(笑)