『ヒミツ』第4巻 24 インフレのその先に2

2023.01.30 その他

このままハイピッチでインフレが進んでいったら、

将来どうなっちゃうんだろう、ってみな不安に思っている。

特に所得が少ない層は、収入における生活費の割合いが高いので、

なおさら切迫度が高い。

でもね、インフレは別の使い方もできる。

コロナもそうだったんじゃないかしら?

急にお出かけできなくなって、あれも自粛、これは三密、

それはディスタンスって、いろんな行動が制限されていた。

でも、だからこそ、会議が減り、接待も減り、

面談はリモートで済ませ、下調べも購入もネットでポチっと。

庭いじりをはじめた人、趣味の手芸を再開した人、

お料理にチャレンジする人、ペットを飼いはじめた人など、

自分にとってほんとうに大切なものへと、人々の行動は向かい始めた。

ある意味、コロナのおかげよね。

けっこうな数の人たちが、ライフスタイルを転換させる

きっかけとして、コロナ対策禍を使ったのよ。

インフレも同じ。

あたらしいライフスタイルへと転換するきっかけとして、

一部の人々は使いはじめているの。

大量生産&大量消費を前提として、慣れ親しんだこの文明全体が

組み上がっているので、いきなりそんなこと言われても、

人間の意識は急に変わったりしない。

変えられない。

だから、ある種、半強制的に生き方を転換するため、

インフレを受け取り直している人々がいるわけ。

彼女たちは、いろんな物を手放しはじめた。

流行遅れにならないよう、毎年買い替えざるをえないワンピ。

タンスにあふれかえっている、もう2年も来てないブラウス。

使われることのない、棚いっぱいの小物たち。

遠慮なく豊かさをたっぷりと受け取っていいのだけれど、

もういらなくなった「豊かさの残滓たち」を後生大事に抱え込んでいると、

身動きしづらくなる。

場所も取られるし、埃もつくし、掃除も管理も大変。

思い切って、「残滓たち」を手放していくと、

その空いたスペースに、空いた時間に、あたらしい豊かさたちが

また入ってきてくれる。

残滓たちには感謝して、次の人にあげたり、処分したり、

どんどん旅立ってもらうの。

「いままでありがとう、たのしかったよ」って、ねぎらいながら。

物だけなじゃない。

人間関係や仕事、役職、担当業務、所属など、すべてに関してよ。

公私ともに、もう情熱を感じなくなったモノたち/コトたちを、

どんどん手放していくの。

過去の清算なんかじゃない。

それこそが、ミライ作り。

ちょっと勇気のいる場面も多いと思うけど、アカルイミライの

ためなんだから、思い切って手放しちゃう価値は十分にある。

手放すからこそ、次が来てくれるのよ。

人間って、引かれる後ろ髪がふさふさだから、

ちょっと厳し目くらいにやる方が、ちょうどいい。

あらゆるものを、シンプルに整えていくの。

インフレを、「アカルイミライ」として受け取り直すのよ。