『ヒミツ』10巻 01 時2
01 時2
グローバルおじさんたちは、偶然、
そのタイミングで動くわけじゃない。
綿密に計算され、世界中の情報や政策がコントロールされ、
なにより、一部の「読み人」たちがエネルギーの動きを読んで、
このタイミングで動くことがベストだから、動いている。
驚異的な世界線の選択がなされているのよ、ほんとうは。
見えない人には、まったく見えないのだけれど。
実は、筆者にもあんまりよくは見えていない。
彼は放棄したから。
自らの意思で封印したから。
いまの彼はどこにでもいる、ふつうのおっちゃん。
・・・ただし、ひきつづき直観は鋭い。
経営者に必要とされる、
時代をかぎ分けられる程度の嗅覚があれば十分なので、
彼はあえて限定されたその能力の範囲で生きてる。
グローバルおじさんたちの動きを横目で見て、
「あ、時が来たんだな。よし、当社も動こう」って
判断に活用させてもらっているの。
これまで欧米勢は、「高金利+じゃぶじゃぶ緩和マネー」で、
大儲けしてきた。
けれど、高金利は経済を害する側面もあり、
やりすぎると自爆する。
薬物中毒と同じよ。
たしかに宴の最中はハイになれていいかもしれないけれど、
いつのまにか音楽は止んでおり、イスは片づけられてしまって、
気が付けばだれも座れない、なんて状態がありえるの。
いい?
音楽が止んだから座れなくなったんじゃない。
みんながハイになり、いい気分で踊りに興じているまさにその足元で、
1つまた1つ、イスは着実に片づけられていた。
水面下で進んでいるこの事実に気づいた人と、
そうでない人がいただけよ。
気づいた人は、突然イスがなくなったとしても、
少なくともご縁があって関わっている方々は座れるよう、
「予備の補助イス」を準備してきた。
補助イスゆえ、メインと同じふかふかな座り心地と
まではいかないけれど、
あるのとないのとでは雲泥の差になる。
そしてね、補助イスを準備するリーダーと
そうでないリーダーがいたように、
準備してもらっていることに感謝の気持ちをもてる社員と、
そうでない社員たちがいたの。
補助イスの準備に理解を示し協力してくれる人と、
そうでない人たちが。
無理解派の人たちは、やれ座り心地が悪くなった、窮屈だ、
オレのあのふかふかした自在イスをもう一度よこせって、
文句ばかり言ってきた。
彼らからは<文句の波動>ばかりが出ていたので、必然的に、
ケチの一つもつけたくなるみじめな未来を創造する結果になった。
他方、理解派の人たちは、また一つ、さらに一つと、構造的に消失していくイス
を補うべく、その月はガバナンスのルールを改訂し、かの月には人事評価制度を改め、
ある月には不採算部門を閉鎖し、他の月には未来につながる新規事業を育てって、
モーレツに補助イスたちを創造しつづけた。
彼らからはつねに<感謝の波動>が出ていたので、「ありがたいなぁ、助かるわぁ」って
未来の要素たちが創造されてきたわ。
1年が過ぎるころには、彼らの地位は上がり、所得が増え、
休みも増加し、裁量権が広がって、
難易度の高い重要なプロジェクトを任されるようになった。
仕事ががぜんおもしろくなってきたのは、必然ね。
そして、彼らが創造した被造物たちは、その反射的効果として、
彼ら自身の創造性を創造するように作用しはじめているの。
来年から日本は、本格的な利上げフェーズに入る。
30年以上、一人だけ周回遅れをつづけていたランナーは、
気が付けばトップランナーに変貌してるわ。
日本でも、いよいよ宴の音楽が大音量で鳴りはじめるの。
それが、来年からのあたらしいフェーズ。
「宴」を上手に活用するには、
前もって準備を終わらせておく必要がある。
いかなる事態が構造的に創造されたとしても、
自身に必要な豊かさを自ら創造し直すことで、
いつでも、どんな環境下でも、つねに豊かで幸せな人生を
送ることができるようになる。
そう、創造主たちの創造。
それが、彼の社内改革だったのよ。
彼の会社は、来年以降使う予定の資金も無事調達済み。
スムーズに、あたらしいフェーズへと移行していけるわ。
自らの創造性を創造しつづけてきた創造主たちが、
大活躍をはじめていくのよ。
それぞれの現場、現場でね。
御社の準備はどう?